その領収書まだ廃棄しちゃダメ。電子帳簿保存法の正しい理解

2020-07-30 | からrecielu | ファイル: 保管方法, 領収書.

2017年1月に改正された「電子帳簿保存法」により、スマホによるスキャナ保存が可能になりました。

また、従来はスキャナ済みの領収書なども原本を保管する必要がありましたが、2017年1月からは原本を破棄できるようになりました。
この改正によって、「スマホで撮影したら領収書はもう不要」と思い込んでいる人、いませんか?
最終的には領収書の原本は破棄できますが、いつでも破棄できるわけではありません

ここでは電子帳簿保存法についてと、領収書の破棄のタイミングをご説明していきます。

電子帳簿保存法の改正内容と電子化の手順

電子帳簿保存法が制定されたのは1998年ですが、その後何度も改正されて内容変更しています。
2017年1月の大きな改正点としては、「原稿台が付いていないスキャナでも可能」「スマホで撮影した領収書も電子化可能」「領収書の原本を破棄できる」ということです。

上記改正点だけを見ると、領収書の原本をすぐに破棄できるような印象さえあります。しかしこれは大きな間違いです。
電子帳簿保存法によって、領収書を電子化する手順は下記になります。

  1. 署名した領収書を撮影し、社内サーバーやクラウドにアップロード
  2. 3日以内にタイムスタンプを付与
  3. 経理担当者で確認
  4. 第三者による検査
  5. 領収書の原本を破棄

上記の手順通り、第三者による検査終了後に領収書の原本が破棄できます。
つまり、「外出先でもらった領収書をその場でスマホで撮影し、原本はすぐに捨てる」ということはできないのです。
いったん領収書の原本は持ち帰り、検査が終了するまで保管するしなければなりません。

領収書を破棄するタイミングとは

上記でご説明したように、領収書の原本は第三者による検査終了後に破棄できます。
これを「定期検査」「定期監査」と言いますが、誰が、どのような方法で行うのでしょうか?

まず、「第三者」は誰なのかというと、これは領収書を受領した本人や、所属している上長ではない人のことで、経理担当者や税理士が行うことが多いです。
一般的に行われる定期検査は、「一定数の領収書をランダムに抽出して、原本の領収書と電子化した領収書を突合せ、内容確認する」という方法で行います。
この定期検査は電子帳簿保存法で、「年に1回以上実施しなければならない」と決まっています。
つまり、年に1度定期検査を行う場合、1年分の領収書の原本は破棄することができません
領収書は信憑書類なので、検査終了前に簡単に捨てることができないのです。

電子保存した領収書を紙媒体で残すのはダメ?

第三者による定期検査で問題がなければ、検査済みの領収書の原本を破棄することができます。
しかし、「万が一のために原本の領収書も保管しておきたい」と考える人もいるかもしれません。
そこで気になるのが、電子保存した領収書の原本を破棄せず残していいのか?ということです。

結論から言うと、これはダメです。
つまり、電子化して検査が終了した領収書の原本は「破棄していい」ではなく、「破棄しなければならない」のです。

なぜかというと、領収書を電子化した場合、「電子化した領収書が原本」とみなされるからです。
そのため、紙媒体の領収書が残っていれば「原本が2つ」と誤った認識になります。
不正防止のためにも、検査終了後の領収書の原本は破棄しなければなりません。

電子帳簿保存法によると、定期検査は年に1回以上実施しなければならないので、同様に領収書の原本も年に1回以上は破棄する必要があります。
「念のために残しておく」ということはできないのです。

ここでは電子化した領収書の原本破棄についてご説明してきました。
電子帳簿保存法は今後も改正される可能性がありますが、現在のところは上記の運用になっています。
もらった領収書を撮影して電子化することがゴールではなく、定期検査終了後がゴールなので、それまで領収書の原本は大切に保管しておきましょう。


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