IT化の時代背景もあり、1998年に初めて「電子帳簿保存法」が制定されました。
その後、何度も改正を行ってきましたが、2017年1月の改正で大幅に規制が緩和されたのを知っていますか?
大きな改正点としては、「スマホで撮影した領収書の電子保存が可能になり、原本を破棄できるようになった」ということです。
とはいえ、「実はよく分かっていない」「難しく感じる」という人もいるかと思います。ここでは初めての人でも分かるよう、電子帳簿保存法やスキャナ保存についてご説明します。
電子帳簿保存法とは
「電子帳簿保存法」は1998年に制定されましたが、規制が厳しいこともあり実際にはあまり普及しませんでした。
しかし制定後何度も改正を行い、徐々に規制が緩和されました。
そして、2017年1月から適用となった改正では、スマホで撮影した領収書やレシートの電子保存が可能になり、原本の破棄も認められたのです。
従来はスキャナについて、「原稿台と一体型に限る」という要件がありましたが、2017年1月の改正で廃止になりました。
この改正により、外出先で領収書をスマホで撮影して保存することができるようになったのです。
領収書の紛失や破損、汚損のリスクを下げることができ、経理にとっても煩わしい管理が不要になります。
スキャナ保存することで得られるメリットは多く、今後導入する企業や会社は増えると予想されます。
スキャナ保存を利用するための必要手順
「電子帳簿保存法」が改正されたからといって、すぐにスキャナ保存をスタートできるわけではありません。
スキャナ保存するためには、事前申請と事後処理が必要になります。
<事前申請>
国税庁ホームページにある「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請」書類を所轄の税務署に提出し、承認を受けます。
使用開始日の3ヶ月前までに申請することが必要です。
<スキャナ保存の実際の流れ>
- 領収書に署名後、スマホで撮影
- 撮影したデータを社内サーバーやクラウドにアップロード
- 領収書を受け取ってから3日以内にタイムスタンプ(※1)を付与
- 経理担当者による内容確認(領収書の原本確認は不要)
- 第三者による事後検査
- 第三者による検査終了後に、領収書の原本破棄
(※1)タイムスタンプ:電子データが、ある日時に確実に存在していたことを証明するもの。電子保存ではタイムスタンプの付与が義務。
スマホで領収書を撮影できるのは手軽ですが、事後処理をきちんと行うことが必要です。
また、スキャナ保存をするためには、社内整備や新たなサーバーの導入が必要になるケースもあります。
スキャナ保存するメリットとデメリット
領収書をスマホで撮影し、電子化するのはとても便利です。
しかし、実際に導入して使用するとなると、メリットだけでなくデメリットもあります。
双方を事前にきちんと認識しておきましょう。
<メリット>
- ペーパーレス化が進み、コスト削減につながる
- 紙媒体の原本が不要なので、整理が楽になる
- 検索したい情報をすぐに見つけることができる
<デメリット>
- タイムスタンプを付与するなど仕様を満たしたシステム導入が必要
- 第三者による事後検査が必要なので、個人事業主の場合は不便
- 使いまわし防止のために、領収書の撮影前に自筆で署名する必要がある
長期的に見ると、原本を破棄できるスキャナ保存は会社にとってもメリットが多いです。
しかし、事前申請やシステムの導入等が必要になるため、スキャナ保存は簡単に始めることができません。
また、不正防止、改ざん防止のために手間を割く必要もあります。
メリットだけでなくデメリットもよく知っておくことで、スキャナ保存導入後もスムーズに対応することができますよ。
いかがでしたか?
「電子帳簿保存法」は今後も改正される可能性がありますが、IT化の流れに沿ってさらに普及される可能性が高いです。
スキャナ保存は事前申請など必要ですが、うまく活用すればメリットが多いです。
しかし、電子化だからこそ気を付けるべきポイントもあるので、そこは押さえておきましょう。
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